本記事では宅地造成工事規制区域(宅造区域)の拡大について解説します。
背景:令和3年に静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土砂災害が発生したことにより、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等を踏まえ、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正して、「宅地造成及び特定盛土等規制法」とし、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制が始まりました。
上記に伴い 各都道府県で宅造区域の指定が拡充し、地域によって特定盛土等規制区域の指定がされました。
宅地造成工事規制区域:一定の範囲を超える宅地造成(切土・盛土)が規制される区域であり、一定範囲の宅地造成を実施する場合には都道府県知事等の許可が必要。

例を挙げると令和7年5月19日に愛知県全域、令和7年5月9日に名古屋市、令和7年4月1日に岐阜県全域と各都道府県で宅造区域の指定が広がり、宅造許可の要否を確認する機会が増えることになりました。
宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の改正の概要
概要としては下記のように定められています。
- スキマのない規制
- 都道府県知事等が、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定
- 農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする 等
- 盛土等の安全性の確保
- 盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定
- 許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、
[1]施工状況の定期報告、[2]施工中の中間検査を実施、[3]工事完了時の完了検査を実施 等
- 責任の所在の明確化
- 盛土等が行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を有することを明確化
- 災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても、是正措置等を命令できることとする 等
- 実効性のある罰則の措置
- 罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反等に対する罰則について、条例による罰則の上限より高い水準に強化 等

※国土交通省 「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」)について 引用
建築確認申請を提出する際の資料
各行政庁ごとに建築士が宅地造成等及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の許可が必要か確認を行う許可要否チェックシートがあります。
参考例としてとして愛知県の許可要否チェックシートを添付します。
宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に係る許可要否の判定チェックシート
この許可要否チェックシートを添付し、許可不要の判断を建築士が行えば、指定確認検査機関も許可が不要と判断をし、宅地造成等及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の審査を完了します。

許可要否チェックシートがあれば建築士と行政庁の事前協議も不要になります。
※例外はあるため、個別の相談は各指定確認検査機関と行って下さい。
まとめ
宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)について再度紹介させていただきます。
- 盛土規制法が施工され宅地造成及び特定盛土規制法の基準が令和5年より変更した。
- 宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず規制がされる。
- 建築確認申請を提出する際には許可要否チェックシートを提出が求められることが多い。
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