本記事では2025年4月の法改正に伴い、昇降機の建築確認申請の変更点について解説します。
法改正に伴う概要
2025年4月1日より建築基準法の法改正に伴い、4号建築物が廃止になりました。
もともと4号建築物(特例のある建築物)に設置する昇降機は、建築確認申請に合わせた併願申請を行っていましたが、新2号建築物では建築物の規模に応じて別願申請・併願申請のどちらに該当するかを設計者が見極める必要があります。
- 併願申請:建築物の建築確認申請を提出する際に昇降機の申請を合わせて行う。
- 別願申請:建築物とは別に昇降機専用の建築確認申請を提出する。
今までは完了検査前に昇降機の別願申請を提出することが一般的ですが、今後は併願申請を行う場合には建築確認申請を提出する際に昇降機の設計書や計算書・認定書等が必要になるため、事前にエレベーターのメーカーに資料を作成してもらう必要があります。
新2号建築物の昇降機併願申請
新2号建築物の昇降機の併願申請が必要な建築物は下記の通りです。
- 籠が住戸内のみを昇降するもの
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条1項二号に掲げる建築物(階数が3以上であるもの、延べ面積が500㎡を超えるもの及び高さが16mを超えるものを除く)に設けるもの
※建築基準法施行令第146条の改正より
この改正により今まで昇降機の別願申請が必要だった建築物が、併願申請が必要になり建築確認申請提出時に昇降機の資料が一式必要という事例もあります。
具体的な事例
昇降機の建築確認申請についていくつか事例を挙げます。
3階建て木造住宅にホームエレベーターを設置する場合(面積・高さを問わず)
ホームエレベーターは住宅にのみ設置が可能なため、「籠が住戸内のみを昇降するもの」に当てはまるため、建築確認申請と併願申請が必要になります。
2025年4月以前では3階建ての建築物は4号建築物ではないため、別願申請が必要でしたが、今回の改正に伴い、申請方法が変わりました。
3階建て木造共同住宅の共用部にエレベーターを設置する場合(床面積200㎡を超える)
この場合は「建築基準法第6条1項二号に掲げる建築物に設けるもの」には該当しないため、別願申請が必要になります。
いわゆる新2号建築物に該当するかがポイントになります。
共同住宅は法別表1で定める特殊建築物であるため、200㎡を超えると建築基準法第6条第1項第一号の建築物に該当するため、昇降機の建築確認申請上は別願申請が必要になります。
3階建て事務所の既存エレベーターのリニューアル工事の場合 (延べ面積が500㎡未満かつ高さが16m未満)
この場合は昇降機の建築確認申請が不要になります。
この条件の場合は建築確認申請の併願申請が必要になりますが、昇降機の昇降路内の籠の入れ替え工事(リニューアル工事)には建築物の建築確認申請は不要になります。
したがって、併願申請を行う建築物の申請がないため、昇降機の建築確認申請も不要となります。
下記のいずれかの書籍で、図解を見ながら理解を深めるのがおすすめです。
まとめ
昇降機の建築確認申請について再度紹介させていただきます。
- 新2号建築物の昇降機については別願申請・併願申請の見極めが必要。
- ホームエレベーターは住宅の規模を問わずに併願申請。
- 建築物の規模に応じて、リニューアル工事の建築確認申請の提出が不要。
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