別棟増築をする際には既設建築物の「検査済証」は必要か。
結論:検査済証・確認済証が不要な場合もあります。
※指定確認検査機関の判断や増築する建築物によって判断が異なります。
別棟増築についてもう少し詳しく解説します。
別棟増築とは
増築とは大きく分けて2種類存在します。
別棟増築:計画敷地内に既設の建築物とは離れた位置に「用途上不可分な建築物」を増築すること
同一棟増築:既設の建築物と一体に増築すること(構造上分離は問わない)
※同一棟増築の定義:意匠上一体・構造上一体・機能上一体 このどれかに該当する場合
用途上不可分な建築物
建築物は 「1敷地1建築物」が原則のため、複数の用途の建築物は共存しません。
その中で1敷地に2以上の建築物が存在してもよい状態のことを「用途上不可分」と呼びます。
用途上不可分の定義:敷地内に2棟以上の建築物がある場合、それぞれ建築物ごとに敷地を分割した際に、それぞれの建築物の機能が成り立たなくなること
事例:一戸建て住宅の別棟増築
・「一戸建て住宅」は1敷地1建築物の原則が適用されるため、敷地内に別の「一戸建て住宅」は建築できません。(親子世帯の2世帯住宅を計画する場合も「別棟」であれば建築はできません。)
・「一戸建て住宅」で増築が可能な建築物は「付属の建築物」や「離れ」です。
付属の建築物:敷地内の主たる用途の建築物(今回は「一戸建て住宅」)に付随する建築物のこと。
※例えば 一戸建て住宅で利用している自動車のための「カーポート」は別棟増築が可能です。
離れ:一戸建て住宅に必要な水回り(キッチン・トイレ・浴室)のいずれか1つ以上がないもの
別棟増築をする際に検査済証は必要か?
建築物を増築する際に確認する内容は「既設建築物が適法か」・「増築をした後も適法状態が継続できるか」です。
既設建築物の適法性を確認する1つの指針として「検査済証」・「確認済証」があります。
上記の理由により 指定確認検査機関で「検査済証」・「確認済証」を求められるケースがあります。
それでは「検査済証」・「確認済証」が不要な場合は下記のいずれかです。
- 建築確認申請上の「申請主義」により「設計者」が既設建築物の適法性を確認した場合
- 行政庁で建築確認申請を提出する
建築確認申請を提出する際には原則「申請書の通りに設計をする」ことが記載されています。
(申請書の第一面に規約などで記載されていることが多いです。)
したがって、「検査済証」・「確認済証」での適法性を確認できない場合でも「別棟増築」であれば建築確認申請を提出することができます。
※同一棟増築の場合は、国土交通省の指針として「検査済証」がない建築物は、指定確認検査機関での審査はできないため、行政庁に提出することになります。
まとめ
別棟増築について再度紹介させていただきます。
- 建築物は1敷地1建築物が原則
- 設計者の責任において「検査済証」・「確認済証」がなくても増築は可能
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